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丸の内に量子の玄関口、三菱地所の共創拠点が示す次の一手

丸の内に量子の玄関口、三菱地所の共創拠点が示す次の一手

ニュースの概要

三菱地所は、量子技術を社会で使えるようにするための共創拠点「Tokyo Quantum Gateway」(仮称)を開設すると発表しました。共創拠点とは、研究者、スタートアップ、大企業が同じ場所に集まり、一緒に課題を解く場のことです。量子技術はこれまで大学や研究機関の実験室が中心でした。そこに、オフィスビルの開発と運営を手がける不動産会社が入ってきた点が目を引きます。拠点は都心のビジネス街に置かれ、技術を持つ側と使いたい側の出会いを増やす狙いがあります。名称に「仮称」と付いているとおり、細部はこれから詰められる段階です。装置の設置規模や運営体制といった具体策は、今後の発表を待つ必要があります。

引用元: 量子技術の社会実装を促進する共創拠点「Tokyo Quantum Gateway」(仮称)を開設(三菱地所)

分析・見解

不動産会社が量子に手を伸ばす理由

量子コンピュータの研究拠点といえば、大学や国の研究所を思い浮かべる方が多いでしょう。そこへ三菱地所が加わるのは、一見すると意外です。しかし、見方を変えると筋が通っています。

同社は丸の内などで、何千社もの入居企業と日常的に接点を持っています。技術者ではなく、事業の悩みを抱えた現場の担当者を大量に知っているわけです。量子技術に足りないのは、実はこの「使いたい側」との出会いです。装置や理論は進んでも、どの業務に当てれば得なのかが分からない。その溝を埋める役を、街の運営者が担おうとしています。

装置の性能より、問いを持つ人の数が効いてくる

現在の量子コンピュータは、誤りを自動で直せる段階にはまだ届いていません。この時期の装置を、専門用語で「NISQ(=誤りを含む中規模の量子機)」と呼びます。実用に耐える計算は限られ、成果が出る分野も絞られます。

そのため今は、装置の性能競争よりも、どんな問題を解かせるかを見つける作業のほうが価値を持ちます。創薬の分子計算、物流の配送経路、金融のリスク計算などが候補です。ただ、これらは現場の人が問題を言葉にできて初めて形になります。拠点の成否は、設備の豪華さではなく、相談に来る事業者の数と質で決まるでしょう。

海外の先行例と見比べると見える課題

似た動きは海外にもあります。米国シカゴの量子クラスターや、英国の国立量子コンピューティングセンターなどが代表例です。いずれも、国や州が大きな資金を出し、大学を核に据えています。

日本は研究の層が厚い一方で、成果が企業の事業に結びつくまでの距離が長いと言われてきました。今回の拠点は、民間の不動産会社が主導するという点で、海外とは違う形です。スピードは出やすい反面、長期の研究資金を誰が支えるかという問いが残ります。この違いが、強みにも弱みにもなりえます。

見落とされがちな視点は、場所そのものの力

独自の見方を一つ挙げます。量子技術の普及を阻む最大の壁は、技術より言葉の壁かもしれません。物理学者と経営企画の担当者では、使う言葉がまるで違います。

同じビルに入り、昼食や廊下で顔を合わせるだけで、通訳役が自然に生まれます。研究の世界で知られる「偶然の出会いが発想を生む」効果を、街づくりの会社は設計できます。拠点の価値は、機械ではなく、人が混ざる仕組みにあります。今後の展望としては、数年内に複数の実証事例が出るかどうかが試金石になります。

ビジネスへの影響

自社の課題を持ち込める窓口として使う

企業の意思決定者にとって、この拠点は「まず相談できる場」になります。量子技術を自社で一から学ぶ必要はありません。大切なのは、計算に時間がかかって困っている業務を洗い出すことです。

具体的には、組み合わせの数が膨大になる業務が候補です。配送ルート、工場の生産計画、人員のシフト作成、投資ポートフォリオの調整などが当てはまります。これらを一枚のメモにまとめて持ち込めば、技術側との会話は一気に進みます。

小さく試し、三年単位で判断する

量子技術は、導入してすぐ利益が出るものではありません。ですから、大きな予算を最初から組むのは危険です。担当者を一人置き、勉強会や共同実験に参加させる程度の投資から始めるのが現実的です。

三年ほど様子を見て、自社の課題に効きそうかを見極めます。その間に得られるのは、技術の目利き力と、研究者との人脈です。これは後から買えない資産になります。

あわせて、暗号への備えも忘れてはいけません。将来、今の暗号が破られる可能性があるため、情報を長く守る必要がある企業は、対策の検討を並行して進めておくと安心です。

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